美しい日本語を学んで、日々をおだやかに生きませんか(前編)

「ありがとう」という魔法の言葉

シンプルだけど言われて嬉しい言葉ランキング1位が、「ありがとう」です。また、成功者が共通している口癖も「ありがとう」と言われます。この「ありがとう」という言葉は、言われることが嬉しいことはもちろんのことですが、使っている人にとっても気持ちのいい言葉であり、誰しもが口癖にしたい言葉の1つではないでしょうか。人が「ありがとう」と言っていたり、言われているのを耳にするだけでも、心が温まります。

少し想像して見て頂きたいですが、

「バカ野郎、何やってだ、お前は」
「本当に、どうしようもないな、お前は」
「こんなことも満足にできないのか」

など、怒号が飛び交う職場と、

「これやってくれたんだね、ありがとう」
「頼ってくれたんだね、ありがとう」
「ギリギリにお願いしたけど、頑張ってくれて、ありがとうね」

などと、「ありがとう」の言葉が行き交う職場では、どちらが居心地がよさそうでしょうか。

また、いつも「すみません」と謝り続ける人と、いつも「ありがとう」と感謝している人と、どちらの人と接していたいでしょうか。もちろん、謝罪することは、悪いことではありませんが、いっつも謝罪ばかりしている人を見たり、謝罪の言葉をむけ続けられると、こちらも余計に気を遣ってしまい、疲れてしまうということはないでしょうか。字にすれば、たったの五文字ではありますが、「ありがとう」という言葉が、如何に素晴らしい力のある言葉かがわかります。

わかっているけど、なかなか言えない「ありがとう」

しかし、そうとわかっても、なかなか「ありがとう」という言葉が使えないものです。今日一日振り返ってみても、どれだけ「ありがとう」を言ったでしょうか。1回なのか、5回なのか、10回なのか、100回なのか、数え切れないほどでしょうか。もしかしたら、よくよく振り返ると、「ありがとう」と言っていない日もあるのではないでしょうか。仏教を学ぶと、「ありがとう」という言葉が、今まで以上に言えるようになりますので、ぜひ、仏教を学んで頂きたいと思います。

ありがとうの語源

実はこの「ありがとう」という言葉は、元々は、仏教の言葉でありました。ある時、お釈迦様が弟子の阿難に「そなたは人間に生まれたことをどの様に思っているか」と尋ねられると、「はい、大変喜んでおります」と答える。では「どれほど喜んでいるのか」と重ねて質問されると、答えに困っていると、お釈迦様があるたとえ話をなされました。それが有名な盲亀浮木のたとえでした。

広い海の底に1匹の目の見えない亀がいる。海には小さな穴の空いた丸太棒が風のまにまに東へ西へ南へ北へと漂っているのだ。

この目の見えない亀が、100年に1度、海面に顔出す時に、丸太棒の穴にひょいと顔を入れることがあると思うか、と尋ねると、聞かれた阿難は驚いて、そんなことは考えられませんと答えると、実は人間に生まれるということは、この亀が、丸太棒の穴にひょいと首を入れるよりも、難しいことなのだ、有難いことなのだよと教えられました。

人間に生まれたことも決して当たり前ではない

ここから、有ることが難い、難しいということで、「有難い」、「ありがとう」という言葉が生まれました。地球上には、沢山の生物がいますから、それと比べれば、人間に生まれる可能性はなかなかありません。ある生物学者の調査によると、地球上の生物の数と人間の数を比較して、生まれる確率を計算したところ、1億円の宝くじを1万回連続で当たるよりも、難しいことだと言った人がありました。マンボウは1回に2億〜3億の卵を産むと言われますから、それを思えば、いかに人間に生まれることが、難しいことかが、わかると思います。そんな生まれがたい人間に生まれた私達ですが、人間に生まれたことを、どの様に思っているでしょうか。感謝をするどころか、苦しいことが起きると、なんでこんな苦しい思いをしなければならないのかと、恨んだり、呪ったりしています。人間に生まれることは、人間としては、別に特別なこととは思いません。自分の周りにも沢山の人がいて、日夜生まれてきているからです。
しかし、実は、今、生きている人も本当に大切な存在です。決して当たり前ではないのです。

そんな私達に、お釈迦様はまず、教えられたことが、「恩」ということでした。仏教は「恩の教え」とも言われ、この「恩」ということについて、詳しく教えられています。この「恩」という事がわかることがまず大切です。

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